諸國名物御前菓子秘伝抄
享保3年
享保3年、1718年に京都の水玉堂梅村市郎兵衛(うめむらいちろべえ)によって刊行された、日本で最初の菓子製法書です。本書にはカステラ、ぼうろなどの南蛮渡来の菓子やちまき、柏餅など日本古来の菓子、宗休餅など茶人好みの菓子など実に105種類もの菓子の製法が簡潔に記載されています。
このなかから、1番目に記載されている有平糖(あるへいとう)の作り方について本の内容で説明しましょう。
始めに、上々の氷砂糖を洗っておきます。その氷砂糖1升(約1.8kg)に水2升(約3.6kg)を入れて煮とかし、絹でこして再び煮詰め、それを匙で少しすくいとって水で冷やし、薄くのばしてはりはりと折れるくらいになったところで銅の平鍋に胡桃の油を塗ってその中に移し、それを鍋ごと水で冷やし、手につかないようになったら鍋から取り出し両手で引き伸ばしたり引きちぎったりして、白くなったならば小さく切っていろいろな形に作る。とあります。