当世風俗五十番歌合
明治４０年刊
浅井忠・画/池辺義象・筆

　古くは鎌倉時代からある、「職人歌合せ」というスタイルに基づき、さまざまな職業の人間が詠んだ和歌を、左右で競いあわせ、その優劣を決める、という設定の歌集です。この本で取り上げられる詠み手には、明治という時代を反映して、「洋服屋」「ボーイ」「女学生」など、新しい職業も多く含まれ、ユニークな挿絵とセリフがつけられています。
挿絵は、明治の洋画の大家・浅井忠、和歌とセリフは国文学者で歌人の池辺義象によるものです。浅井忠と池辺義象、ともに当時の洋画壇、学会の重鎮であり、また親友どうしでもあった二人の合作によって、この歌集は、明治の世相を大胆に、ユニークに描いた、見事な諷刺漫画となっています。