ようこそ「岩瀬文庫の世界」へ
1話3分、知の探検。
Iwase Bunko Library was established as a private library in Nishio city.
Yasuke Iwase, a wealthy merchant, used his own funds and opened IBL in 1908.
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鉄道旅行案内
大正10年・13年刊

 鉄道開業から50年目にあたる大正10年、国有鉄道を所管する鉄道省によって『鉄道旅行案内』と銘打たれた横長の小型冊子が刊行されました。運賃や利用の手続き、直営ホテル紹介などの「国有鉄道営業案内」に始まり、「東海道線」「山陽線」「中央線」などの各路線・各駅ごとにその土地の解説や乗り換えの案内、近場の遊覧地や宿泊施設などの情報が手際よくまとめられています。また、沿線主要地の名所や産物などを盛り込んだ路線図や、車窓から見られる景色を描いた美しいカラーの挿絵が旅心を誘います。挿絵は、名所案内図や鳥瞰図(ちょうかんず)で評判をとり「大正の広重」と称された吉田初三郎が描いています。

 大正後期から昭和初期にかけて、鉄道網の発達にともない、都市部の中産階級を中心に旅行を楽しむことが流行しました。世間の旅行ブームと、本自体のセンスの良さとあいまって、この『鉄道旅行案内』は大好評を博し、大正十三年には早くも改訂版が出されました。岩瀬文庫では大正10年版と13年改訂版を一組にして一括で収蔵しています。西尾鉄道の初代社長でもあった文庫の創設者・岩瀬弥助のもとに、鉄道省から寄贈されたものです。
 旅行ガイドブック類の大先輩のようなこの本は、以降も昭和に至るまで何度も版が重ねられ、現代でも多くの鉄道ファン、旅行ファンに支持されています。