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ようこそ「岩瀬文庫の世界」へ
1話3分、知の探検。

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Iwase Bunko Library was established as a private library in Nishio city.
Yasuke Iwase, a wealthy merchant, used his own funds and opened IBL in 1908.
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犬狗養畜伝
江戸時代後期刊
暁鐘成

 庶民文化が爛熟した江戸時代後期、小動物の飼育や園芸植物の栽培が人々の間で盛んになりました。それらの専門店ができたり、指南書が多数出版されたりと、いまのペットブーム、ガーデニングブームを思わせる流行ぶりでした。そんな中、最も身近なペットである犬の飼育書はさぞ多かろうと思いきや、意外にも確認できる出版は本書『犬狗養畜伝』だけなのです。最古の家畜とも言われる犬はあまりに身近すぎて、却って本が書かれなかったのかもしれません。
この本の作者は江戸時代後期に活躍した大坂の読本作家・絵師の暁鐘成(あかつきのかねなり)です。彼は夏の盛りには自分の飼い犬はもとより、近隣の犬たちにまでみな冷たい水をふるまって、暑さに弱い犬たちを助けるほどの愛犬家でした。愛らしい犬たちの挿絵入りで、病気や寄生虫、ケガなどの治療法、薬、餌の与え方など飼い方の諸注意を列記しています。
筆者の鐘成はこのほか、繰り返し犬に対する愛護の心を説いています。いわく「この世に生を受けたものは禽(とり)獣(けだもの)に至るまでみな兄弟です。ましてともにくらし、なつき従う犬はなおさらのこと。犬を飼う人がこの本を参考にし彼らを愛してくれたらこんなに嬉しいことはない」と。
江戸時代唯一の犬飼育書である本書、当時はたくさん出まわったのでしょうが、現存する版本は当文庫のこの本一冊きり、まさにオンリー“ワン”の本なのです。