ようこそ「岩瀬文庫の世界」へ
1話3分、知の探検。
Iwase Bunko Library was established as a private library in Nishio city.
Yasuke Iwase, a wealthy merchant, used his own funds and opened IBL in 1908.
Please enjoy a glimpse of our movies and texts.

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鳥類写生
江戸時代中期

 五色鸚鵡(オウム)、百舌鳥(モズ)、紅靏(トキ)、鳬(カモ)、十二黄(レンジャク)、仏法僧といった色とりどりの鳥たち、53種が描かれた色紙が貼り込まれた、大変美しい画帖です。
岩瀬文庫には、江戸時代の動物、植物の絵が描かれた図譜、図鑑がたくさんありますが、この「鳥類写生」は少し性格が異なります。それぞれの図には、その鳥の大きさのめやす、描き方、色の塗り方などのこまかな注意書きがあります。 つまり、絵師が鳥を作品に描く場合に、どのように描いたらよいか、というお手本、覚書のようなものと思われます。

例えば、「コケラツツキ(すなわちコゲラのこと)」は、「雀ヨリ小ナリ 目クチバシ足 草ノ具 セナニ少シ朱ノ毛有 頭ワウスズミ 草ノボカシ ウスズミノ毛書 腹ワ藍ズミ草ボカシ ウスズミ フヲ打 同毛書」つまり、大きさはスズメより小さく、目・くちばし・足は薄い草色(具、というのは白を混ぜること) 背に少し朱色の毛があり、頭はウスズミに草色のぼかし、ウスズミで毛書きをし、腹は藍墨に草色のボカシを入れ、薄墨でフ、つまり斑点をうち、同様に毛書きをする)と、誠に細やかです。
緻密な筆づかいや彩色によって、一枚一枚丁寧に描かれた羽毛の描写は特に美しく、完成度の高い作品に仕上がっています。ぞれぞれの鳥の美しい羽根が最もよく見えるように、また、その愛らしさが引き立つように、ポーズにも工夫が見られます。