三河西尾
昭和28年頃版
吉田初三郎/画
表紙には、西尾発祥の三河万歳の絵、裏表紙には西尾小唄の楽譜と歌詞、開くと西尾町の鳥瞰図があらわれます。この図を描いた吉田初三郎は、大正から昭和にかけて、この鳥瞰図の第一人者として活躍した画家で、生涯に3000点以上の鳥瞰図を手がけたといいます。
手前に大きく湾曲する矢作古川、奥に三河湾を臨み、伊良湖岬や知多半島の向こうには、浜名湖、富士山、鳥羽、伊勢神宮までもが見え、四方にはランドマークとして鳳来寺山、華蔵寺、八ツ面山、猿投山を配置するなど、構図のアレンジや遊び心を効かせ、中央に西尾の町を描いています。もちろん岩瀬文庫もあります。
裏面には西尾町の地図と町の概要、観光名所の紹介と写真が載っています。昭和27年末のデータで、人口3万人あまり、特産品は三河木綿と西尾茶、土産品として百色せんべい、七味唐辛子、鳩納豆などが紹介されています。
実は、吉田初三郎は昭和12年頃にも西尾の鳥瞰図を描いています。『西尾城下町ガイドブック』の表紙に使われているものですが、当時は、公共施設よりも町のお店の名前が目立つものでした。