雛遊貝合の記
寛延2年版
度会直方
江戸時代の中ごろ、寛延2年(1749)に、神道学者、国学者の度会直方(わたらいなおかた)が出版したものです。雛遊び、七夕遊び、貝合わせ、歌がるたといった、女の子の遊びの由来を解説しながら、その教訓を説く、啓蒙書、教訓書となっています。
例えば当時の雛祭りの様子。毛氈を敷いて雛壇をしつらえ、立ち雛と座り雛、その前には小さなお膳を並べています。江戸時代の中ごろには江戸の町にも雛祭りの風習が広まり、それとともに雛人形は段飾りを増やし、豪華になってゆきました。
しかし、直方は、本来「雛」とは「小さい」という意味であり、また雛人形はそのモデルとなった少彦名命にちなんで小さく作るべきで、昨今のように見栄を張って大きく作りたがる風潮はおかしいことだ、と嘆いています。また、雛祭りは神代の昔に遡る神事であるので、決して女の子の遊びとおろそかにせず、謹んで祀るべきである、と説いています。