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ようこそ「岩瀬文庫の世界」へ
1話3分、知の探検。

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Iwase Bunko Library was established as a private library in Nishio city.
Yasuke Iwase, a wealthy merchant, used his own funds and opened IBL in 1908.
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HOME > all > Library034 雪華図説

雪華図説
正編天保3年、続編同11年刊
土井利位

 自然界は時に思いも寄らない美を見せてくれることがあります。たとえば、雪。雪の結晶を六枚の花弁をもつ花にたとえて「雪華図説」と名づけられた本書は、雪に魅せられた殿様、下総国古河藩主・土井利位が著した、日本初の雪の結晶の図譜です。家老であり高名な蘭学者の鷹見泉石の指導を得て、顕微鏡を用いて観察・写生した雪の六角平板結晶図をはじめ、結晶が生成する原理、結晶の観察のしかた、雪の効用などが記されています。正続2冊から成り、正編は天保3(1832)年、続編は同11年の刊行です。

 利位は、大阪城代や老中まで勤めた忙しい大名の公務をぬって結晶の観察をすること20年余、雪が降るたびに外へ飛び出し、黒い漆ぬりの器に雪をうけ、顕微鏡で検視しては結晶をスケッチしました。掲載された結晶図は総計183種。ふたつとして同じ形のない、繊細な雪の結晶の特徴がよくとらえられており、現代でも高い評価を得ています。

 本書の刊行によって雪の結晶の神秘的な美しさを知った当時の人々の間で、着物の図柄や器物の装飾などに雪華の模様をあしらうのが大いに流行しました。それらのデザインは著者土井公の官名・大炊頭(おおいのかみ)にちなみ、「大炊文様」とも呼ばれたそうです。