西尾城郭覚書
明治〜大正
大正から昭和にかけて活躍した西尾町生まれの画家、稲垣錦荘が若い頃に西尾城に関する資料4種類を写し、一冊にまとめたもの。内容は、①歴代西尾城主の沿革、②西尾城内の郭、櫓、門などの測量数値、③西尾城の城郭図、④西尾城内と城下の風景画16枚。
とくに目を引くのは最後の風景画で、写真が残らない西尾城のありし姿をしのぶ、数少ないビジュアル資料です。原図は、明治から大正にかけて西尾の錦城町や横町に住んだ画家の辻松香が描いたもの、とされています。
明治3年に「西尾城」の名前が廃止され、翌4年には西尾藩も廃止されたこと、また壊れた城の屋根瓦が落葉とともに描かれ、作者松香の取り壊された西尾城を懐かしみ、惜しむ気持ちが表されています。